十割蕎麦
そば - 2014年03月30日 (日)

昨日、とある蕎麦屋に入った。
十割蕎麦にこだわっている店で、自家製粉もしていた。
もりで頼んだら、「最初に塩で召し上げってください」と言われた。
蕎麦に自信がある証拠だ。香り、甘みとも申し分ない。
店の佇まいもよく、店主の気合が伝わってきた。
酒肴も豊富だったので、今度は呑むところから始めたいと思う。
十割蕎麦は打つのが難しいといわれる。
「つなぎ」を使わないので打っている時も茹でる時も麺線が切れやすいからだ。
ふつう、「つなぎ」には強力粉などの小麦粉が使われる。
加水するとグルテンという粘りのあるたんぱく質ができ、これが蕎麦粉をつなぐ役目をする。
十割蕎麦は「つなぎ」を使わない。
蕎麦粉に熱湯を注ぎ入れ、箸などで素早く撹拌する。
そうすることで、蕎麦粉に含まれるデンプンが糊化(α化)し、これをつなぎの代わりにする。
よって素早く打たないと乾燥し、粘りがなくなってしまう。かといって無理にのしていくとグルテンのように伸縮性がないため千切れてしまう。

そんな難しい十割にこだわる打ち手がいる。またそれを求める客たちが大勢いる。
混じりっ気のない純粋なものを求めることに否定はしない。ただ、
「十割蕎麦は麺線が短くなる」「温かい蕎麦では極端にやわらかくなる」
このことは避けることはできない。 これを心得て食べてもらいたい。
今朝、久しぶりに蕎麦を二八(にはち:蕎麦粉:つなぎ=8:2)で打った。
麺線は細く長く、蕎麦の香り、甘みも十分感じる。
純粋ではないが、お互いの長所を生かし、短所を見事に補う打ち方であるといえる。