「手打ち」とは
「手打ちうどん」、「手打ちそば」の「手打ち」とは、何をもって言うのでしょう。
「水まわし」、「捏ね」、「のし」、「切り」、実は工程に「打つ」というのはないんです。
一説には、生地をのす際の音や、切る際の音が「打つ」音に似ているから、というのがあります。どうなんでしょう。以前、テレビでラーメンの生地を板にうっつけてのしているシーンを見たことがありますが・・・。
私は、「手打ち」=「手作り」だと思っています。
だからその工程を機械でしたら「手打ち」ではなくなるということです。
たとえば、「手縫いのセーター」が機械縫いであったり、手作りパンが機械で捏ねられていてはうそになるのと同じことです。
なのに、うどん・そば業界は、これを平気で破っているお店が多い。驚いたのは、「手打ちうどん製麺機」なるものがあるそうです。笑えますよね。
それは「手打ち」=「おいしい」という感覚を持っている人が多いからじゃないでしょうか。
「手打ち」=「おいしい」、「機械打ち」=「おいしくない」ではありません。香川県でさぬきうどんを食べに数件回りましたが、そのほとんどが機械打ちでした。それでも、大変おいしかったです。逆に老舗といわれる手打ちのお店でも、気取っていて、値段が高くて、大しておいしくないお店もあります。
大事なのは、いい材料をつかって、手打ちの工程を意識した作り方で、茹でたてを食べるということです。うどん屋さん、おそば屋さん、これからは、「手打ち」という気まずい看板ははずして、「おいしいうどん・そば」を看板にしたらどうでしょう(^^
それと食べる側が、氾濫する情報を鵜呑みにせず、もっと自分の感性に自信を持つことです。宣伝する人たちは、それが商売ですから、多少の誇張やビジネス上の駆け引きなどもあるでしょう。そして過剰な宣伝が、かつてはよかったお店を堕落させ、またそれを暴露し、今度は失墜させる。(すべてのマスコミさんが、そうとは思いませんが・・・失礼)正直、このお店は今のままそっとしておいて欲しいなと思うことがあります。
話題を最初に戻しますが、「手打ち」=「手作り」。
何にしても、手作りのものには、その人の姿勢というか、生き方が見えてきます。
上手であれ、下手であれ、一つ一つがオリジナル。うまくごまかす人もいれば、真っ正直に弱点も晒す人もいる。
私が「手打ち」好きなのは、そこなんです。まさに人生と同じなんですね。